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沖田と共に部屋の前に着くとそこには自分より少し高い位の小柄な青年、藤堂平助がいた。
沖田は藤堂に事のあらましを説明すると「試合、楽しみにしてますから」とだけ言い残し何処かへ行ってしまった。
「ねぇ彩さん、本当に勝負する気なの?」
藤堂がゴソゴソと壇笥から袴を引っ張り出しながら聞いてきた。
「そうだよ」
「止めておけば?沖田さんから話は聞いたけど相手は三番隊組長の斎藤一らしいよ?並みの男だってハジメには適わないよ!!」
「やってみなきゃ分からないじゃない!!何とかなるよ、きっと」
当の本人は心配を余所に伸びをしながら答えると藤堂は引っ張り出した袴を彩の前に置いた。
「まぁ、頑張ってとしか言えないけど…。んじゃここに袴一式置いておくから、俺は外で待ってるから着替えたら呼んでね」
そう言い残し藤堂は部屋の外へ出た。
「ありがと、平助君。…よしっ!着替えるか!!」
気合いを入れ服脱いでゆくが段々とある疑問が彩の頭の中を過ってゆく。
(あれ……着るのってこんな感じだっけ…?私よく考えたら袴着た事無いから着方分からないや…)
彩は「うーん…」と少し悩むと部屋の外で待っている藤堂に声を掛けた。
「平助くーん!!!!」
「着替え終わった?」
藤堂がひょこっと襖を開けて顔を覗かすと部屋の中には中途半端に袴を着た彩が苦笑いをしていた。
「私、袴の着方分からないんだよねー…着させて?」
「はぁ?」
藤堂は呆れてため息を付いた。
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