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ヨウさんを蹴ろうとしていた男は、私の体当たりでバランスを崩し、吹っ飛んでいった。
「ばっかっっ!!早く逃げろ!……」
ヨウさんは、足を痛めたのか、立てずに怒っている。
私は首を振る。
恐怖なのか、緊張なのか、声がでない。
「…じゃあ、早く助け呼んで来いよ!!」
私は再び、首を振る。
きっと、ヨウさんは、私をここから離れさせる為に、言葉を変えたのだろうが…
確かに、助けを呼ぶべきだったかもしれないが……
このまま、ヨウさんを残せなかった。
相手だって、私が逃げたら、私が助けを呼ぶことなんて分かってるだろう。
その間にヨウさんがどうなるか分からない……
それが怖かった。
私が居たところでどうなるわけでもないかも知れないが………
できないもんはできない………。
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