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   ある町外れに住む青年は突然思い立ちました。   ( ^ω^) 「どこまで行けるか歩いてみるお」  それが突拍子のない発想であることは、はた目から見ても当然分かるものでした。    もしその場に誰かがいたとしたら彼を諭すことでしょう。 けれどその誰かはそこにはいませんでした。彼には友達と呼べるものはおろか、家族すらいなかったのです。    つまり彼をつなぎ止めるものはないわけです。   だからでしょうか。小一時間程度の短い時間で荷物をまとめた彼は、早速玄関へと向かい、薄汚れた靴にと足を突っ込みます。   その靴は長い間愛用しているのか、中敷きと踵はすり減っていましたが、彼は全く気にしません。   ( ^ω^) 「……」    ピタリと動きを止めた彼は、何を思ったのか、後ろを振り返りました。    そこには八畳ほどの薄暗い空間があるのみです。   ( ^ω^) 「……いってきます」    そう一言いうと、彼は前へと向き直り、玄関の戸を勢い良く開け放ち、今、一歩を踏み出しました。  
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