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「ハァ…ハァ……」
深夜の古い港街に息切れの混じった少女の吐息が響く。
響く…と言うほどに大きな音ではないが、響いてしまうほどに街は静まり返っていた。
この街の事なら全ての道を知っている…と言っても過言ではない少女は、自分が徐々に追い詰められていることに気付いていた。
徐々に…だが確実に逃げ道を塞がれているのだ。
そして目の前を曲がってしまえば、そこが行き止まりということも分かっていた。
「誰…ですか!!アナタ達は!!」
そんな少女の言葉すら聞かない追手の男達。
完全に逃げ道を塞ぐと1列に並び、その中から1人の男が前に3歩ほど進んだ。
「貴様には我々と来てもらう。理由は分かるな?」
「し…知りません!!」
「気付いて…いない?隠しているのか?…まぁいいだろう。我らの主の為に貴様を連行する」
「何で…何で私なんですか…?」
「…どうやら前者のようだな。貴様は選ばれた。世界の輪廻の中で真魔になりうる者として」
「私が…真魔?何かの間違えです!!私は…魔力すらないんですよ?」
「眠っているだけの事だ…さぁ来てもらおう」
そう言って男の手が少女に伸びた。
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