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「い…嫌っ!!」
少女がそう叫んで両手を前に突き出した。
「――何っ!?」
それだけ…たったそれだけの動作で巨漢の男は弾き飛ばされた。
「…そんな…私に…魔力なんか…」
「ふ…はは。確たる証拠だな。貴様が拒絶するなら…この街の者を全てこのようにしてやってもいいのだぞ?」
そう言って男は何かを放り投げた。
それは少女が今まで母と呼んでいた物だった。
それだけじゃない…弟や祖父母…父までもが少女の足元に転がっていた。
「そん…な…お母さん…お父さん…」
「貴様が来るだけで…街は救われるのだ」
そう言って男が少女に触れた時。
それは起こった。
「…我が与えしは裁きの一撃。我が拒絶する者を…虚無の彼方へと消しさらん…
『聖符・白光の灯火』」
少女がその言葉を最後まで発した時…辺りは白い光に包まれ何も見えなくなった。
そしてその日。
世界地図から街が1つ消えた。
そしてこの日から世界は戦乱の世となる。
真魔と翼を巡る戦乱の世に。
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