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――次に目が覚めると緋色の月が見えた。
それは、月が近付いたのかと思うくらい大きく近く見えた。
はっと気付き、驚いて横になっている体を起こし周りを見渡した。
周りを深い森で囲まれた大きな湖の畔だった。
綺麗な円を描いて、鏡の様に水面に大きな月と星たちを写しだしていた。
時折、風で水面が揺れ月たちが少し歪む。
その景色があまりに幻想的でしばし見惚れていた。
不意に胸の下辺りに痛みが走り、急に熱くなった。
何とか暫くそれに耐えると次第に熱も痛みも治まった。
それでこれは夢ではなく、本当に私は生きているんだと確認すると、自分の体を見た。
体には包帯が巻かれていた。
驚いて体にかけられていた毛布を剥がすと、一応下の下着は穿いているようだが、
それ以外は…そこも含めて包帯を服代わりにグルグルと巻かれているだけで、
一種のファッションのようにも見えるが、ある意味全裸よりも恥ずかしく、顔が熱くなり少し悶えた。
悶えていると急に声がした。
「傷は大丈夫か?」
悶えていたところに、急に声をかけられ驚いたが平静を装う。
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