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男だと思うのだが……にしては高い声に性別を判断しかね、声のした方へ顔を向けた。
そこには、白い着物を帯もせずに前を開き、下が紺の袴姿のほぼ半裸の男が立っていた。
男だが、そう判断出来るのは開いた着物の間から豊満な胸ではなく、硬そうな胸板が見えていたからだ。
それ以外、まず体は着痩せするのか引き締まった筋肉があるのに見えない部分は線が細く見える。
深紅の髪もポニーテールにして肩より少し下だが、下ろせば背中の真ん中辺りまではあるだろう。
顔も髭がまったく生えてなく、整っていて美青年というより美女といった感じ。
女装をすれば服の下を見られない限り絶対にバレないであろう。
……しかし、私はこの男とは初対面だと思うが、―この顔―どっかで見たことあるというか誰かに似ているような――
「……うぅ~ん」
「おい」
私が思い出そうとしていると、男が再び声をかけ私の顔を覗きこんできて目が合った。
―綺麗な緋色の瞳、深紅の髪―
「って!えぇ~!」
私の記憶の予想外のものと合致し、驚きのあまり私は叫んで男にガツンッ! と頭突きをかましていた。
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