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「いっ痛ぅ~。何なんだよ!いきなり叫びながら頭突きやがって!痛てぇじゃねぇかぁ!」
男がジトッと睨んでくると更に記憶の人物と重なる。
睨んでいるのを無視して、私は本心では夢として現実逃避したかった。
――が、先程の頭突きの痛みで現実と確認させられ、『奴』の着物の襟首掴んで思い切り前後に揺さぶりながら問う。
「お前!まさか咎人か!咎人なのか!」
「あっ、ああ」
私に頭を揺さぶられて突然のことに驚き惚けた顔で、『奴』はあっさりと認めた。
「だが、あの時着物越しだが胸に膨らみが有ったぞ!」
「それには、色々と事情が…って何でそんな親しい分けでもなく、天津さえ命の恩人である俺がんなことに答えにゃならんのだ!」
それはもっともだったので揺さぶるのは止めたが、ここで声を低くして最重要事項を聞くことにした。
「…私の服を脱がし、包帯でグルグル巻きにしたのは…お前だな。」
もしここに他に誰か居たならば、間違いなく逃げて行くだろう殺気とドス黒いオーラを出していた。
その後、何ということもなくまたあっさり認めた『奴』をたこ殴りにした。
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