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そして、落ち着いてから『奴』に今の状況を聞いた。
~咎人View~
――時間を遡り数時間前。
「あ~、ここどの辺だろ」
俺は何となく独り言を呟いた。
この空気と森の感じからして、――大陸の中心、『ミルラの泉』がある主峰『アシュバルン山』の東の森――。
――ヴァルツィール領の『アザミュールの森』のど真ん中――ってとこか? と現在地確認。
(最寄りの街、或いは村まではかなりあるな。まあ、山から少し離れてるからそう危険は少ないだろう)
――『ミルラの泉』のある『アシュバルン山』付近は、聖域と呼ばれていて険しく、危険な生物が多数生息し、また山頂に近付く程霧が濃い。その為、今まで数多く死者や行方不明者が出ている危険地帯である――
適当にブラブラするだけの旅。
だが、食糧やらその他諸々の必要な消費するもんを買うためにたまには現在地を確認して、近くの町なり村なりの位置を掴んでなきゃならない。
「ったく、かったりぃ~。あ~、女垂らしこんで逆玉してヒモになりてぇ~」
「はぁ」と溜め息をつく。
この考えは全くの無意味。
何故なら今の俺は別の意味で懐が厚いからだ。
……つうかさらし巻いてるけど胸って重いし肩凝るよなぁ。女は大変だよな。
などと心の中で愚痴りつつ再び「はぁ」と溜め息。
自慢(?)の長いポニーテールが力なくを左右揺れる。
本当は自慢でもなく鬱陶しいのだが、これも『約束』なので破る訳にはいかない。
「はぁ」と三度目の溜め息をついた時に、はっとした。
……血の臭いがする。
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