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俺は完全に気配を絶つと慎重にかつ速やかに臭いのする場所へ向かった。
ついた場所は、それなりに大きな川だった。
そこの岸で血を流しうつ伏せになって倒れていたのは純白の鎧を着た女だった。
少し耳が尖っていることからエルフの血が混じっていることが解る。
そして、その鎧と肩に付いている紋章には見覚えがあった。
兜を被ってないが、確か初対面の時に勘違で俺に剣を向け、
その後も何度か戦場で戦った――俺程ではないがかなり腕の達女将軍だ。
女は、まだ微かに意識があるようで目を開き必死に動こうとしていた。
その絶望の中でも必死にあがこうとしている強い意思を秘めた瞳。
その瞳がかつて自分の隣に居た奴と重なった。
俺は急いで駆け寄った。
俺が駆け寄る途中に意識がもたなかったのか、女は目を綴じてしまった。
脈と呼吸を確認するがどちらも弱々しい。
槍か何かでやられたのか純白の鎧は砕かれ、後ろまで貫通していた。
辛うじて致命傷は避けたのだろうが、出血が酷く体もかなり疲労していた。
恐らく傷を負った後、逃走の際に川に飛び込み泳いできて疲労したものだろう。
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