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体が水に濡れ冷えていて、手足にいくつか打撲の後が見られる。
このままでは出血多量で死んでしまう。
だが傷も大きく、治癒魔法も――今の――この女の体力では無理、その上たとえ傷を塞いでも血が足りない。
成す術がない訳ではないが……ふと、“さっき”の瞳と“かつて”の瞳が脳に蘇る。
「ったく、しゃ~ねぇ。かったり~。けど一丁やりますか」
(……なあ、紅姫【コウヒ】)
~レイアView~
――と、目を覚ました女に俺は傷を癒した方法とその他個人的なことは伏せて、ここまでの経緯を教えた。
――私は咎人から話を聞き終え、状況を整理する。
大まかな経緯と状況を聞き、追っ手が来ていないことがわかった。
多分、私は死んだと思っているだろう。
現在地は、何と『ミルラの泉』だったのには流石に驚いた。
多少何か隠しているようだが、個人的な事だと立ち入ったことは聞かなかった。
(……とりあえず話を大体聞いたので、助けられた礼を口に言おう)
私が礼を言おうと、思考して下がっていた頭を上げた瞬間――奴が再び口を開いた。
「じゃあ、今度は俺が聞かせてもらおうか。……っと言いたいところだか、面倒そうなんで首突っ込みたくないし、聞かないでおこう。俺はのんびりと自由気ままな放浪の旅を続けたいからな」
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