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私はそれを無視して歩きながら続ける。
「つまり現在地は分からない……と。」
奴は今ので艶めかしく谷間が――さらし越しに――見える程着崩れたので、それを直しながら「そう」と頷く。
「……で、何処に向かっている」
私が睨みながら聞くが、特に気にした様子もなく淡々と、
「ん~。次は適当に南にでも行って泳ごうかと……方角はあってる。」
「何故、方角は分かって現在地は分からんのだ!」
「いや、分からんこともない。ちょいと考えたら分かるが……面倒ッ!」
――バシッ!
「痛っつ!」
「どれだけ面倒臭がり屋なんだ!」
思わず後頭部を力一杯しばいてしまった。
~咎人View~
――バシッ!
「痛っつ!」
「どれだけ面倒臭がり屋なんだ!」
……ったく、承諾はしたが殆んど勝手につい来ている癖に煩い奴だ。
退屈はしないが、こいつのツッコミは殺人レベルに達していて、手加減を知らんらしい。
背中に食らった蹴りも、とっさに蹴りのタイミングに合わせ跳んでなかったら、背骨がバラバラになっていた。
さっきのツッコミも後頭部の頭蓋骨が粉砕。
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