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ついでに首の骨も折る威力で、とっさにタイミングを合わせて少し首を動かし衝撃を緩和したので“死ぬ”ことはなかった。
……こいつは自分が女で“今は”俺も女だということを忘れているのではないだろうか?
まあ、これは置いとくとして――しかし、解せないことがある。
こいつの目的は、おおよその予想はついてる。
しばらくこいつが前線から離れ護衛の任に就いたのは、戦場で会わなくなったのと風の噂で聞いた。
多分、護衛対象の王女が拐われ、それを追っているのだろう。
解せんのは、こいつ程の剣士があんな深手を負って――しかもそれが正面からの一撃だということ。
こいつは、魔法に関して大魔導士には及ばないものも、宮廷魔導士を凌ぐ程度の実力を持っている。
生まれつき高い潜在魔力を普通の魔法ではなく、付加や強化といった補助魔法を剣術に特化させた使い方をしている。
それでも、多分最高位魔法の一つや二つは使える程の技量を持っている。
剣術に関しては俺程ではないにしろ(多分、これは誰にも無理だろう)、極めたと言っていいほどの腕。
戦闘能力は、俺が“旅を始めてから”遇った中で歴代五番目に強い。
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