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現在生きている中では三番目、速さだけならトップで俺に次いで速い。
若いながら技も熟練され頭も切れる。
そんなこいつが正面から……考えられる理由は三つ。
ひとつは、速い――つまり純粋に相手がこいつよりも速く強かった。
或は、速さがほぼ互角で信頼していた相手に至近距離から騙し討ちをされた場合。
だが、これはない。
鎧の穴の空き方は、貫かれたというより、砕かれたという感じで高速の一閃ではなく強力な一撃によるものである。
故にこれは違う。
――ということは残りひとつ。
動けない――魔法による束縛は頭が切れ実力もあるレイア相手には無理。
つまり人質を捕られ脅された場合だ。
恐らく王女を人質に捕られたといったところか。
だが、そうなると相手は拐うのにも関わらず、別に殺してもいいという矛盾が生じる。
レイアが、手を出さなかったということは、相手は拐うのにレイアが動けば必ず殺すことが分かっていたからだろう。
となると、王女は必要だがその生死は相手にとってどうでもいいということになるが――
「はぁ~。」
と思わず溜め息が出た。
どうやら来客らしい。
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