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一つは、奴の名(本名かどうかは不明)が紅緋【コウヒ】ということ。
――宿屋の客名簿を見せてもらい判明――
二つ目は、奴が夜――それも月明かりの元でだけ男に戻る――或いはなるということだけだ。
――これは野宿と宿屋に泊まった時に気付いた――
あまり人のことを詮索するのは好かないが……
姫様を救う上で、この者の実力と人間性を正確に見極めなければならない。
そして、姫様の居場所も……
どちらにしろ、とりあえずは情報収集だな。
と思考を終えたところに声がかかる。
「おーい。体も温まったしそろそろ上がるかぁ?」
湯舟で少し赤くなった紅緋が尋ねてきた。
「……ああ。そうだな」
と応え、私たちは温泉を離れた。
……否、離れる予定だったが……
「……ふっ、服がナァァァイィィィ!?」
先を歩いていた紅緋が叫んだ。
「………………何ぃ!!馬鹿な!さっきまでそこの岩の上に置いてあっただろう!」
私は一瞬ワケがわからず固まってしまい、すぐに紅緋の首を前後に振りながら絞めた。
「……くっ、苦しい……しっ、死ぬぅ。……だっから、……無ぃん……だっ……て……。」
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