Act.3 初旅          ~人生と旅はトラブル&エラー~

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一つは、奴の名(本名かどうかは不明)が紅緋【コウヒ】ということ。 ――宿屋の客名簿を見せてもらい判明―― 二つ目は、奴が夜――それも月明かりの元でだけ男に戻る――或いはなるということだけだ。 ――これは野宿と宿屋に泊まった時に気付いた―― あまり人のことを詮索するのは好かないが…… 姫様を救う上で、この者の実力と人間性を正確に見極めなければならない。 そして、姫様の居場所も…… どちらにしろ、とりあえずは情報収集だな。 と思考を終えたところに声がかかる。 「おーい。体も温まったしそろそろ上がるかぁ?」 湯舟で少し赤くなった紅緋が尋ねてきた。 「……ああ。そうだな」 と応え、私たちは温泉を離れた。 ……否、離れる予定だったが…… 「……ふっ、服がナァァァイィィィ!?」 先を歩いていた紅緋が叫んだ。 「………………何ぃ!!馬鹿な!さっきまでそこの岩の上に置いてあっただろう!」 私は一瞬ワケがわからず固まってしまい、すぐに紅緋の首を前後に振りながら絞めた。 「……くっ、苦しい……しっ、死ぬぅ。……だっから、……無ぃん……だっ……て……。」    
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