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~紅緋View~
――更に三十分後
泥棒を見つけた俺たちは今戸惑っていた。
100m程先を走っている小さな影と蛍火。
俺たちは気配を完全に殺しているので気付かれていないようだ。
夜目の効く俺の眼ははっきりとその姿を写している。
風に靡く絹の様な美しい瑠璃色の髪。
同色の瞳も闇よの中、揺らめく蛍火に薄っすらと浮かび上がり、幼くも可憐な少女を儚く魅せる。
少女を照らす蛍火は、魔法か妖精なのだろう。
俺たちは、泥棒が幼い少女という事実よりも、何故この様な場所に子供がいるのに驚いた。
またどうするべきか悩んでいた。
「とりあえず、捕まえ……もとい、会って話を聞くべきだと俺は思うんだが……。」
「……あっ。ああ、そうだな。」
提案するとレイアも同意したので、俺たちは驚かさないように少女に近付いた。
「っ!?」
少女は俺たちに気付くとやはり驚き、すぐに逃げようとするがレイアに回り込まれ、俺たちに挟まれ逃走はできない。
それが解ると、少女は震えながら素早く手に魔力を溜めそれを目の前の俺に放った。
「おっと」
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