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そこでレイアがいつの間にか真剣な顔をして、こっちをじっと見ているのに気付いた。
多分、俺の情報が欲しいのだろう。
あまり知られるのはよくないが仕方ないし、どうせ名前は宿で調べられているだろうから……まあ、いいか。
「私の名前は“紅姫【コウヒ】”、あそこでこっちを睨んでいる怖いお姉さんがレイアっていうの。よろしくね、ルゥちゃん。」
「誰が怖いお姉さんだぁ!」と誰かが叫んだ気がするがとりあえず無視。
「うん。よろしく、紅姫お姉ちゃん」
「ところで、何でルゥちゃんはお姉ちゃんたちのお洋服を盗るなんて悪いことをしたの?」
すると、ルゥはうつ向きぽつぽつと語り始めた。
「…………ルゥは……ルゥは、ずっと独りぼっちだったの。」
「気付いてから、ずっとこの森の中で暮らしてたの。」
「瑠胡って名前とお話(言葉)とちょっとだけ力の使い方はわかってるの。だけど、何でここに居たのか、何時から居たのかわからないの。」
「今まで……いろんな物を拾ったり、お魚を捕ったりしてたの。……だから、お姉ちゃんたちのお洋服も……」
俺はルゥを強くギュッと抱き締め、話を途中で遮った。
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