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私が駆け付けた時、そこは既に人体が積み重なり丘となっていた。
自軍も敵軍も関係なく、皆倒れ丘の下は血の海となっている。
その丘の上に女がいた。
どこにも返り血一つ浴びず、綺麗な深紅色の長い髪に緋色の瞳をしたその女は空を見上げていた。
羽織っている黒地に深紅の桜吹雪柄をした着物と髪が風になびいている。
その美しさ見惚れていた私は、「…何だ?」というどこか妖艶な声に、はっと我に返り剣と盾を構えた。
「貴様…何者だ!」
私が問うと奴は少しの間思案してから、妖艶な声とは裏腹に男っぽい口調で応えた。
「……確か、咎人。世間じゃ『血桜の咎人』、そう呼ばれているらしい。まあ、好きに呼べ。」
「なっ!『血桜の咎人』だとっ!」
私はその言葉に驚愕し、同時に納得した。
『血桜の咎人』、通称・咎人は全世界で最も有名な賞金首。
性別、年齢不詳の謎の人物で様々な噂がある。
容姿だけで、若い美男子だった、若い美女だった、全身焼けただれた化け物だった、動くミイラだった等と様々な噂がある。
ただ共通しているのは、深紅の髪に緋色の瞳。
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