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楽しく話をしているうちにもバスはどんどんと進み、回りの景色は田んぼや、森といった景色へと移り変わって言った。
「あ、携帯圏外になった。まじかよ。」
誠が驚きながら秀人に携帯を見せた。
「この辺りは電波の届かないところもまだあるらしいからな。どっちにしてもかかってくる相手いないだろ。」
「そうそう、あんたどうせエッチなサイトみるくらいしかつかってないから別にいいじゃない。」
二人は誠に対して冷たい反応を返すと誠はふてくされたように窓の外を見た。
実際、誠が携帯を使っているときはゲームをしているときか、やましいサイトを見ているときくらいだった。
そしてバスは目的地に到着した。乗っていた乗客は秀人達3人とおばあさん一人だけだった。
金額を支払い、バスを降りる。降りた場所は田んぼの真ん中、見渡す限り近くに民家らしきものすらない。
「ホントにここであってるのか?秀人?」
3人の荷物を持ちながら誠が問いかける。
「あぁ、間違いない。時間も連絡してあるからそろそろ迎えがくるはずなんだが…」
するとバスがいってしまった方向から一台の車がこちらに向かって走ってきた。
その車はいかにもぼろぼろでかろうじて走っているように見える。
「まさかあれが…」
「…」
そしてその車は秀人達の前で停車した。そして窓を手で回しながら年のころ50歳ほどの男が顔を出した。
その男は頭にタオルを巻き、ひげをはやしたいかにも田舎のおじさんといった感じだった。
「よう、誠。久しぶりだな。小学校の時以来だから5.6年ぶりか。」
「もしかして、雄二おじさん?迎えが来るっていってたのはおじさんの事だったんだ。」
秀人が雄二おじさんと言った男は秀人を確認すると笑顔で車から降りてきた。
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