12人が本棚に入れています
本棚に追加
それから約二時間後…
秀人は2階の自分の部屋に戻った後、読みかけていた小説を読んでいた。すると突然、誰かが階段を上がってくる音がし、部屋のドアががちゃりと開く音がした。
「よう、秀人♪泊まりに来たぜ。」
そこには妙にテンションの高い(と言ってもいつもの事だが)誠がいた。
「部屋に入ってくる時はノックぐらいしろよ。チャイムも鳴らさず入ってきたのか?」
すると誠は胸を張って自信満々で応えた。
「玄関でおばさんに会ってさ。泊まりに来たっていったら心よく入れてくれたよ。脅かしてやれって言われたからノックしないではいって来た。」
秀人はどうして自分の周りはこんなやつらしかいないんだと溜め息をついたが、そのおかげで退屈しない毎日があるんだなと心の中で苦笑いした。そして一番は誠が自分の親友で良かったと想う。他の人ならきっと心は開けなかっただろう。
「それはそうと飯は食べたか?」
「あぁ。さっき下で頂いたよ、ご馳走様。秀人の分はおじさんが帰ってきてから一緒に作るってさ。」
「…」
やっぱりさっきの事はなかった事にしようと思った秀人であった。
しばらく二人で進路の事や学校での話をしていると、一階から秀人達を呼ぶ声がした。どうやら父親が帰ってきたらしい。二人は部屋を出て階段を降りていった。
リビングでは母親が料理の支度をし、父親は着替えをしていた。父親の性格としては…言うまでもなかった。簡単に言うと母親と合わせると誠が三人いるようなものだ。
「おじさんこんばんわ。泊まりに来たよ。」
「おお誠。よく来たな。飯喰うか?」
「喜んで。」
「喜んで。じゃねーよ。さっき喰っただろ?」
「我が息子ながら固いやつだな。誠みたいに気楽に生きろよ。母さん、誠の飯もお願いねー」
「任して~」
秀人のツッコミも軽く流され、会話は進む。頭をかきながら秀人は仕方なく食卓についた。
最初のコメントを投稿しよう!