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夕食を食べ終わり、リビングでテレビをつける。父親はそのまま風呂に入りにいってしまった。ふと誠の様子を見ると腹をさすりながらちょっと苦しそうにしている。
「いや~おいしかった。ちょっと食べ過ぎたかな。」
「二回もおかわりすれば当たり前だろうが。」
「料理もうまいんだから食べなきゃ損じゃん。」
他愛もないいつもの会話が続く。誠との会話にきりがないと思った誠はテレビのチャンネルを変えていった。ふとあるチャンネルで手を止めた。この時期よくある番組…心霊特集だ。
「なんか毎年こんなのやってるけど嘘っぽいよな。」
と誠が言う。
「確かに…俺も見たことないからな。」
「父さんは見たことあるぞー。」
ふと後ろを振り返ると濡れた髪をバスタオルでふきながらパンツ一丁の父親が立っていた。
「服ぐらい着てからこいよ…」
秀人が冷たく言い放つ。
「ほんとお前は冷たいやつだな。父さんそのうち泣くぞ。」
「勝手に泣けよ。」
「それでおじさん、話の続きは?」
誠が目を輝かせ、正座している。興味津々のようだ。秀人も父親からそういった話を聞いた事がなかったため一緒に聞く事にした。
「あれは父さんが五才くらいの時だったかな。実家は田舎を絵にあらわしたような感じの所で周りにはたんぼしかなかった。
その頃の遊び場と言えば川か山くらいのものだった。ある日、友達と山に遊びに行ったんだ、探検だーとか言いながら。男ならそういった探検とか冒険に憧れるだろ?」
誠がうんうんと頷く。秀人はそうでもないと言いたかったが話の腰を折りそうなので言わなかった。
「んで日も少し暮れた頃、俺達は一つの小さい社を見つけたんだ。」
「社?」
秀人がおもわず声をあげる。秀人が話に食いついてきたのが嬉しいのか笑顔で話を続けた。
「あぁ、社だ。神さんとかを奉るようなやつだったな。中になにがあるのか気になっておもしろがって社の扉を開けたんだ。すると中には独楽が大量に入っていた。」
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