12人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、父親は母親に引きずられ、リビングからでていった。10分程すると父親の右頬が少し腫れて戻ってきたが二人は気にしなかった。
「ホント若い女の子が絡むとだらしないんだから。」
「…ごめんなさい。」
すっかりしょげてしまった父親を慰めるように誠が話し掛ける。一方秀人はそれを見てざまあみろとばかりにほくそ笑んだ。
「…なにか言いたそうだな、秀人。」
つい先程、秀人が言った言葉と全く一緒だったため、母親はやっぱり親子ねぇと笑った。
「まあいい。今管理している人に問い合わせしたら2、3組予定客がいるらしいが基本的にはいつでも大丈夫だそうだ。」
「おじさんほんと?秀人、いつにする?」
秀人が少し呆れた顔をして言い返す。
「俺はいつでも構わないが勝手に決めると亜希にまた殴られるかも知れないぞ。」
誠もはっと今日の事を思い出し、焦り始める。
「そ、それもそうだな。亜希に連絡とってみるよ。部屋から携帯とってくる。」
すっと立ち上がると誠は2階の部屋へと向かっていった。
秀人がなにげなく時計を見ると時刻はすでに10時を回っていた。父親は「寝る」と一言だけ言い残し寝室に行ってしまった。母親もそれにあわせてリビングから出ていった。
一人になった秀人はリモコンを手に取り、再びテレビを付けた。
「さっきの番組…終わったみたいだ…」
と独り言を呟き、そのままテレビをなんとなく見ていた。テレビでは「ごりせん」という、実家が動物園で顔がゴリラみたいな先生が不良達を守りながら動物園がなんたるかを教える、と言ったちまたでは人気らしい番組が始まっていた。
しばらくすると喋り声と共に誠がリビングに戻ってきた。電話をしているようだ。相手はもちろん亜希だろう。
誠は電話を切り、秀人にVサインを送る。
「なんか一週間後にしてほしいらしい。用事でもあるのかな。」
秀人は立ち上がりながらリモコンでテレビを切る。
「どうだろうな。とりあえず親父も寝たから明日言うとするか。」
「了解。早く来週にならないかな~。」
そんな会話をしながら二人は2階の部屋へとあがっていった。
最初のコメントを投稿しよう!