オープニング『黒のお嬢様と、白の姫君』

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  しばらくして秋葉は志貴の部屋の前に着いた。ドアを開けようと手を伸ばして手を止めた。部屋の中に誰かがいる気配を感じたからだ。いくらお金持ちの家だからと言って、この屋敷に盗みに入る程の輩はほとんどいない。いたとすればそいつは余程の命知らずか、相当な馬鹿ぐらい。もっとも、どちらにせよ無事にここから帰れた者はいない。ある者はセキリュティに引っかかり、ある者は琥珀の実験台にされ、またある者は秋葉に散々『折檻』された。その話が泥棒業界に届いたかどうかは定かではないが、遠野邸近寄るべからずと言う暗黙の掟が出来た…のかもしれない。 「アルクェイドさん! また貴方ですか!?」 志貴が起きているだけと言う可能性もあるのに秋葉にはアルクェイド(件の迷惑な客人の一人)がいる確信があった。それは秋葉の鋭さ故か、慣れ故か…。 「お? 妹だ。やっほー。」 部屋にいた人物は果たしてアルクェイドだった。秋葉に見つかったアルクェイドは驚く事なく陽気な調子で遅すぎる挨拶をした。ちなみに志貴の部屋は二階であり、部屋の窓は開いている。つまり彼女は二階の窓から侵入した事になる。
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