迷い、悩む

8/18
前へ
/68ページ
次へ
僕が向かった場所は、屋上。 春や秋は程良い心地で、学生だけでなく教師も足を運ぶ。 だが、今は冬。 当然、誰も来ない。 ギィ… 少々錆びたドアを両腕で押すように開け、僕は屋上に出た。 「さむ…」 凍てつくまでとはいかないが、やはり冬の空気は寒い。 ―持って来てて良かった マフラーを首に巻き、僕は屋上の端へ歩き出す。 フェンスから下を見下ろすと、グランドが一望出来、沢山の生徒達がサッカーやソフトなど、それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。 その中には大野と篠田もいた。 二人は子どものような笑顔を見せながら、楽しそうにボールを追い掛けている。 「あいつら…」 知らずに僕は拳を握り締めていた。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加