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僕が向かった場所は、屋上。
春や秋は程良い心地で、学生だけでなく教師も足を運ぶ。
だが、今は冬。
当然、誰も来ない。
ギィ…
少々錆びたドアを両腕で押すように開け、僕は屋上に出た。
「さむ…」
凍てつくまでとはいかないが、やはり冬の空気は寒い。
―持って来てて良かった
マフラーを首に巻き、僕は屋上の端へ歩き出す。
フェンスから下を見下ろすと、グランドが一望出来、沢山の生徒達がサッカーやソフトなど、それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。
その中には大野と篠田もいた。
二人は子どものような笑顔を見せながら、楽しそうにボールを追い掛けている。
「あいつら…」
知らずに僕は拳を握り締めていた。
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