迷い、悩む

14/18
前へ
/68ページ
次へ
「まぁ、いいわ。貴方が死ぬまであと3日。良く考えることね」 そう言うと、紫音は背中から真っ黒な翼を広げ、飛び立とうとした。 「ま、まって!!何故、君は僕に死ぬ日や選択肢を与えたの?」 「それはまだ言えない」 翼が羽ばたき、ゆっくりと紫音の体が宙に浮く。 「な、なんで?」 僕は少しずつ視線を挙げながら、紫音の返答を待った。 「それを言ったら、貴方はその事実に左右され、自分の意思で選択出来なくなる可能性があるからよ。最期なのだから、自分一人で決めなさい」 「そんな…………!!?」 ブワッ!! 翼が大きく羽ばたいた。 辺りは突然の強風にあおられ、僕はとっさに目を閉じ、両腕を顔の前で交差して身構える。 「…………………あ………」 風が止んだので恐る恐る目を開けると、さっきまでいた紫音の姿は何処にも無かった。 「…………………」 僕は空を見上げたまま、茫然と立ち尽くす。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加