53人が本棚に入れています
本棚に追加
「まぁ、いいわ。貴方が死ぬまであと3日。良く考えることね」
そう言うと、紫音は背中から真っ黒な翼を広げ、飛び立とうとした。
「ま、まって!!何故、君は僕に死ぬ日や選択肢を与えたの?」
「それはまだ言えない」
翼が羽ばたき、ゆっくりと紫音の体が宙に浮く。
「な、なんで?」
僕は少しずつ視線を挙げながら、紫音の返答を待った。
「それを言ったら、貴方はその事実に左右され、自分の意思で選択出来なくなる可能性があるからよ。最期なのだから、自分一人で決めなさい」
「そんな…………!!?」
ブワッ!!
翼が大きく羽ばたいた。
辺りは突然の強風にあおられ、僕はとっさに目を閉じ、両腕を顔の前で交差して身構える。
「…………………あ………」
風が止んだので恐る恐る目を開けると、さっきまでいた紫音の姿は何処にも無かった。
「…………………」
僕は空を見上げたまま、茫然と立ち尽くす。
最初のコメントを投稿しよう!