53人が本棚に入れています
本棚に追加
ギィ…
「!?」
その時、突然ドアが開いた。
僕はあいつらが来たのかと、無意識に体をこわばらせる。
「あ…いた………」
だが、開いたドアから現れたのはあいつらではなく、一人の少女だった。
「君は……………」
緊張を緩め、僕は少女を見る。
少女は僕と同じクラスの子だ。
小柄な背格好に、肩くらいまで伸ばした黒髪。大人しそうで、だが内気な性格をも思わせる表情。
名前は確か、水野…だったと思う。
「あの…もう授業が始まってて……でも、加賀見君いないから、先生が探してこいって…………」
ドアの傍で顔を真っ赤にさせて一生懸命に言葉を繋げる水野。
僕は腕時計を見ると、確かに授業開始時刻から15分過ぎていた。
「ホントだ。ありがとう。わざわざ探してきてくれて」
僕は水野に満面な作り笑いを送る。
この女も傍観者の一人。
どうせ、陰で僕を忌み嫌っているのだろう。
僕は、水野の横をすり抜け、階段を降りようとした。
「あ、あのね!加賀見君!」
「?」
背後から聞こえた水野の声に、僕は立ち止まる。
最初のコメントを投稿しよう!