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「何?」
「あのね…その………」
僕は水野に振り返り、彼女の返答を待った。
「今から教室戻ったらね…また…大野君達に殴られちゃうよ?…だから………保健室に行かない?」
水野はビクつきながら、必死に言葉を発する。
僕は、彼女の言動に驚き目を見開いた。
「君は今、何を言ったのか分かってるのか?」
「…………」
僕の問いに水野は無言で頷く。
「この事がバレたら、君もあいつらに目をつけられるぞ?」
「う…うん……分かってる。………でも、これ以上加賀見君が殴られてるところを見たくない……。だって、加賀見君は全然悪くないんだもの!」
「!!?」
驚いた。
最初は嘘だとさえ思った。
だが、もし嘘だったらこんな言葉は言わない。
いや、言えないはずだ。
何故ならば、以前大野がクラスメイトに命令していたのを、僕は隠れて聞いてたのだ。
『加賀見に関わるな。もし関われば、加賀見と同じ目に遭わせてやる』
と。
だから、いくら先生からの指示とはいえ、僕を呼びに来るどころか、こんな話まで持ち掛けるのは、水野にとって自殺行為と変わらない。
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