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放課後、僕は大野から屋上に呼び出された。
薄暗い階段を上りながら、僕はポケットの中にあるモノに触れる。
まさか屋上とはな…
自分の死様を予想し、僕は薄く笑った。
屋上が凄く高く、そして恐ろしく感じる。
「死刑台に上がるときの気持ちって、一体どんな感じなんだろうなぁ」
死ぬ恐怖に足がガクガク痙攣するほど恐ろしいのだろうか。
それとも、苦しい現実から逃げられる喜びを感じるような、爽快な気分なのだろうか。
僕の場合は両方だった。
死への恐怖と
やっとイジメが終わるという喜び。
気が付くと、僕は階段を上りきり、屋上と階段を隔てる古い扉の前に立っていた。
僕は一度深呼吸し、ゆっくりとドアノブに手をかける。
キィ…
ドアの重みを感じながら、僕はドアを開け、屋上に足を踏み入れた。
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