53人が本棚に入れています
本棚に追加
「しお…………!?」
僕が彼女等に話し掛けようとすると、死織が人指し指を僕の唇に触れた。
「彼等に私達の姿は見えないわ。だから、もし彼女を助けたいなら私達の事は無視して、このまま彼等の方を向いて。」
優しく、だが緊張した表情で死織は言う。
「……………」
僕は黙って頷くと、ゆっくりと大野達の方へ向き直した。
「秀才君。お前知ってたか?水野がお前のことをどう思っているのかを!?」
「え?」
「お…大野…くんっ!?」
僕は、突然何を言い出すのだろうと思った。
水野が僕のことをどう思っているかなんて、分かるわけがない。
だって、一昨日から少し話してただけだったし。
「水野はテメーのことが好きなんだってよ!!!」
大野が怒りを込めて叫んだ。
「……………えぇ!?」
僕は驚いた。
自分のことが好きな女なんて、今まで一人もいなかったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!