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「彼が言っていることは本当よ」
死織が言いながら、僕の左側に並んだ。
「彼女は貴方に好意を持っていた。だから、彼に捕われた」
次に死怨が僕の右側に並ぶ。
「まさか、昨日俺と水野が話してたところを見られてたのか?」
目線はそのままで、僕は小声で彼女達に聞いた。
「そうよ。だけど、それだけじゃない」
「?」
「大野は彼女の事が好きだったの。だから、昨日の貴方達を見て、裏切られた気持ちで一杯になってしまったのね」
死怨と死織が交互に答える。
僕は驚きと後悔で一杯になった。
まさかあの場に大野達がいたとは思わなかった。
もっと警戒していれば良かった………。
「今さら後悔しても無駄よ」
死怨が吐き捨てるように言う。
「どうあがいても、結局こうなっていたわ。ま、運命ってやつね」
「運命?」
「そう、運命。貴方がここで死ぬのも、ね」
「……………」
運命か……………
信じないわけではないが、その一言だけで全てが片付けられるのは、なんか気に食わない思いがした。
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