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「ウゼェんだよ!!!」
ドカッ!!
「っ!!!!」
強烈なストレートが篠田の左顔面に入る。
苦痛に顔を歪ませた篠田は体制を崩し、『危険』と貼り紙が貼られたフェンスに殴り飛ばされた。
「ま、待って!そっちは…!!!」
驚いた僕は、急いで篠田の元へ走りながら、精一杯手を伸ばした。
バキン
ネジが老朽化してたフェンスは、外部からの衝撃に耐えられず、篠田の体を包み込んだまま屋上を飛び出す。
「え………う、うわぁぁぁ!!!」
「っ―――!!!」
僕の手を掴もうと篠田は必死で手を伸ばすが、あと数センチ足りず、屋上から姿を消した。
「いやだぁぁぁぁぁ!!!」
篠田の悲痛な声が屋上から離れていく。
グシャ。
「…………………」
恐る恐る僕は下を覗く。
「っ!!!!」
五階建ての屋上から落ちた篠田は、マリオネットが無造作に投げ出されたような肢位で、真っ赤な血の絨毯が敷かれた地面に潰れていた。
間に……合わなかった……………
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