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まるでスロー再生されているようだった。
水野の体は、ゆっくりと冷たいコンクリートへと仰向けに倒れていく。
バタン…
「み…水野………水野!!」
「来るな!!!」
「っ!!」
駆け寄ろうとする僕にナイフを向け、大野は水野を抱き上げる。
「はぁ…はぁ…」
苦しそうに肩で息をする水野を大野は今までとは違う、まるで愛しそうな表情で見下ろした。
「水野…苦しいだろう?直ぐに楽にしてあげるよ」
そういうと、大野は真っ赤に染まったナイフを高く振り上げる。
「ダメだ!!!大野!!!」
僕は走った。
大野がナイフを振り下ろす。
ドン!!!
僕は大野を思いきり後ろへ突き飛ばす。
すると、振り下ろされたナイフの軌道が反れ、僕の腹部へ…
グサ
「あ゙……………!!?」
大野は後ろへ。僕は水野を飛び越して大野の右側に横向きで倒れた。
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