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主君の突然の行動に、小十郎は驚きを隠せなかった。そんな小十郎をよそに、政宗はさらに顔を近づける。
─そして、次の瞬間
ぺろりっ。
一瞬何が起こったのか分からなかった。気づいた時には政宗はしてやったりと言わんばかりの表情を浮かべていた。それに何故か顔が熱くなってくるのを小十郎は感じていた。
「政宗様、一体何を…!」
「Ah~?何って、お前の鼻の頭にチョコがついてたから舐めとってやったんだよ」
顔を赤らめる小十郎に政宗はあっけらかんと答えを返す。
「それならそうとちゃんとおっしゃって頂きたい!」
「いいじゃねえか、チョコとお前をいっぺんに味わえたし、─なにより」
『鼻の頭にチョコ乗せて笑うお前の顔、最高にcuteだったぜ?』
耳元でそう囁かれて、小十郎は何も言い返せなくなった。たまに自分にしか聞かせない声で囁かれるのが小十郎には弱いのだ。
恥ずかしそうに瞳を逸らす小十郎に、政宗は頬に軽く口づけを落としてからこう告げた。
「今夜その出来上がったチョコレートを持って俺の部屋に来い。こっちも酒用意して待ってるからよ」
楽しみにして待ってるぜ~と手をひらひらさせて台所から去っていく。一方、小十郎は顔を赤らめながらも小さく「承知…」と返し作業を再開する。
その様を覗き見していた伊達軍兵士達は軽く砂をはきたい気分になったのは言うまでもない。
(完)
(あとがき)
小十郎さんが作っていたのはチョコの基本、ココアをまぶしたトリュフショコラです。あれは比較的簡単に作れますけど、手の温度が高いと丸めてるときベタつくんです。なので見ようによっては泥遊びしているようでした(笑)
だからバレンタインで作るチョコ菓子は大抵ガトーショコラかチョコブラウニーが私の基本です。トリュフは粉糖をまぶしても美味しいですよ。
てか2日遅れで申し訳ありませんでした!!!次の松小はその後日談になっています(笑)
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