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「なるほど…いや 卿が押さえ込む凶器はなかなか鋭いな、竜さえも軽く凌駕する禍々しくも黒い刃だ」
「……テメェ、本気を出せって言ってんのが分からねぇか…!」
不敵な笑みを浮かべたまま、刀を構えて久秀を睨みつける男に言葉をかけると、それが気に障ったか刀を構えたまま唸るように男は吠える。
「卿の勇気には恐れ入るよ片倉小十郎。まさかたった独りで乗り込んでくるとは思わなかった」
「言ったはずだ…。人質と刀を返してもらうと」
そう言って松永と対峙する男───片倉小十郎は今にも煮えたぎりそうな怒りを押し止めながらも不倶戴天の敵をより一層睨んだ。
それは悪鬼羅刹もおののかせる、仁王を彷彿とさせるほどだった。
その形相に動じることなく、松永は言葉を続けた。
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