Saint Valentine's Day.小話集

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『恩を仇で返しちゃ駄目。』 「うう…ここは何処へ行っても寒いなぁ。帰る前に凍え死んじゃうよ」  まだ雪が多く残っている本州最北端。歩き慣れない雪の道を掻き分けながら、蘭丸は一時の暖を求めて人里を探し続けていた。 もっとまとまった大雪が見たいと思って興味本位で北の方まで向かったのはよかったが、正直雪を甘く見ていたおかげで方向が分からなくなり、挙げ句道に迷ってしまったのだ。 すぐに帰るつもりだったので握り飯を持たずに出ていったので悪いことにお腹まで減ってきた。このままでは完全に危ない。だが、 「もうくたくたで歩けないよぅ…」  正直こんな雪の中を長時間も歩いてきたので体力に限界がきていた。もう駄目かもしれない。諦めながらも敬愛する信長や濃姫のことを思い浮かべて心から二人に謝っていた。 「あれ!?童が一人で何してるだべか!そっちさ行ったら危ねえだよ!」  意識が遠のき始めようとしていたまさにその時、少し離れたところから声が聞こえる。 助かった。
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