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「はぁ・・・! はぁ・・・!!はぁ…酷いよ隼人、黙って先に行くなんて!!」
息を切らす早紀。
どうやら相当速く走ってきたようだ。
『章雄とあまりにも楽しそうにしてるものだから邪魔しちゃ悪いと思ってな・・・』
「なっ、えぇ!?…あっ?そっかぁ~、隼人~もしかしてヤキモチ焼いてんのかなぁ?」
ニヤニヤしながら早紀はそう言うのだが。
『は?なんで?』
当の本人はしれっとしている。
そのリアクションを不服に思ったのか、彼女は頬を膨らませ。
「もぉ!!知らない!!」
プンスカと怒りだし、隼人を置き去りにして、さっさと教室へと入っていってしまった。
先程言ったが、隼人はコミュニケーション下手の為、自分が学んでいる心理学を活用出来ずにいた。
傍観者としてならまだしも、自分の事や自分のする相手の事となるとまったく機能しないでいた。
剣道の試合、稽古時では相手の先の先を読める程その能力は遺憾なく存分に発揮されるのだが、そういった場合を除いて…つまり日常生活ではその“先読み”はまったく発揮されてはいなかったのだ。
(なに怒ってんだあいつ・・・?)
そしてこれらが、前田隼人も含め、彼を取り巻く周囲の者達が過ごしていた平和な日々日常であった…。
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