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チュン・・・チュチュン・・・
蒼蒼と生い茂る、ベランダ越しに見える草木。
季節は夏の手前、梅雨が明けたばかりだった。
昼下がりの午後、ここはある大学が運営する学園寮。
~静まり返った寮内の一室~
・・・ジリリリリリリ!!!!!
目覚まし時計が忙しく鳴り響き、静寂に包まれたこの空間を慌しくさせる。
『うわっ!?』
ドタン!!!!
スチール製の安物のベッドから落ちるようにして起きた青年。
『・・っ痛ぅ』
彼の名前は前田隼人○○大学の2年生、専攻学科は臨床心理学科。
今時、とは言いがたいが、容姿は良い方で体つきは昔からやっている剣術のおかげかかなり良い。
(昨夜は暑かったな・・・シャワー浴びるか・・・)
ガチャ・・・シャアァ・・・
彼の持つ頭脳は中の上。
彼の学力だけではこの大学に入れなかったが、高校時代における全国剣道大会での優勝という肩書きが、合格の決め手だと自他共にみとめている。
正義感や負けん気が強く、根性も人1倍。
一見頑固そうでいて情にもろい。父親曰わく、自分が大好きであった祖父とそっくりだそうだ。
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