魂の叫び

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「フィリップー」 エルは何気なく、友人であり近衛隊長でありまた執事っぽいこともしたりするフィリップに話しかけた。 「なんですか、陛下」 フィリップもさりげなく、友人っぽくてこの国の王でありまだまだ子供であるエルに答える。 会話だけ聞くと判らないが、この二人は現在進行形で刃を合わせていた。エルは刀、フィリップは長剣で。しかしまぁ、別にこれは忠臣の裏切りとかそういうものではなく、エルに言わせれば“ただのじゃれあい”に過ぎなかった。 「あのさー」 ごく普通の応答。いや常識的には可笑しいというのは兎に角置いておいて。 「はい」 フィリップも慣れているのか、何事もなさそうに返答。しかし声色的には酷く無表情だった。ぶっちゃけ恐い。怒っているんだったらそれだけなのだが、何を考えているのか読めないのはなんか凄く恐い。 だがエルはそんなことは構わず、ただ一言、 「俺、青春したい」 とのたまう。 その言葉にフィリップは目を細め、眉間に皺をよせ叫んだ―― 「十分青春してますよ!!」 ――落書きされたその顔で。 「えー」 エルは溜め息混じりでつまらなさそうに、しかし楽しそうに答えた。 (青春したーい!) (てかその前に国王の仕事やって下さい!)
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