行く宛は

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消滅したあの日。俺の意識は枯れない桜の中に眠った。 暗くて、寒くて、何も見えないまま半年が経った。 だけど、毎日のように話かけてくれる人がいる。返事はできないけど、とても心が温まる声…。 音姉! と叫びたいけど、動けない。 桜の木に封印されたかのように…。 俺は、未来を変える事ができるのだろうか…。 なぁ、音姉。俺にできる事…何かあるかな…? 約束、守れるかな…。 音姉は毎日のように願ってくれている。 だけど、今、枯れない桜の木は枯れてしまっている。 今まで一度も枯れた事の無かった木なのに…。 俺は…。 俺の願い事は…。 もう一度みんなに会いたい! もう一度みんなと馬鹿をやっていたい。 もう一度… もう一度音姉や由夢と話したいよ…。
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