行く宛は

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俺は、できる限り願った。 前の生活に戻れるように。 特別な存在なんかじゃ無く普通の男子として存在したい。 さくらさん…、俺にも魔法…使えるかな…。 できる限りの力を桜の木に注いだ。 桜の木の中に眠っている俺の意識まで消えてしまうくらい力を注いだ。 ―それから一週間が経った。 真冬なのに枯れない桜の木は桜を咲かせた。 町中がにぎやかになった。 俺はもう一度この地に足を降ろす事が許されたのだ。 だが、何故か朝倉家に足を運べない…。 雪の降る中、公園で今日の夜を過ごそうと決めた。
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