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「な……なんか怖い……」
不安げにSちゃんが言う。
でも道は一本道で、必ずそこを通らないと家には帰れない。
少しずつその男に近づく。
男は突然、両手を勢いよく広げた。
「アハハッ……とーせんぼ、とおせんぼぉおおぉぉお!」
ニタニタと張りついたような笑顔、しかし眼だけは笑っておらず大きく見開かれている。
みんなどうすればいいのか分からず、おろおろするばかり。
男はフラフラしながら笑い続けている。
「大丈夫だって!あんなん怖くないよ!」
意を決したように言ったM君が男の脇の下を通り抜けようとする。
「……とうせんぼっ!アハッ!アハハハッ!」
男は甲高い声で激しく笑いだし、M君をつかもうと素早く手を伸ばした。
「うわああっっ」
とっさにY君がM君を引っ張って、男は掴んでいたM君の手を離した。
「ふふっ……アハハッ」
ふら、ふら、と男は近づいてくる。
「や……やだあぁぁああっ来ないでえっっ」
誰かが叫び、みんな一斉に走り出した。
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