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お葬式の日、
みんなはおじいちゃんの顔を見て挨拶をしていた。
最後の方になって親族だけになった時、
お父さんと一緒におじいちゃんに最後のお別れをしにいった。
お父さんは棺の中をのぞき込んでただ、ただ泣いていた。
あたしは……
おじいちゃんを直視できなかった。
おじいちゃんは全身低温火傷で、顔まで赤くただれていた。
昔のおじいちゃんは、どこにもいなかった。
「無理して見なくていい、おじいちゃんもきっとわかってるから……」
お父さんにそう言われ、あたしは見るのをやめた。
そばで手を合わせながら、自己嫌悪で吐きそうだった。
その夜、あたしはおじいちゃんが死んでいたと思うとその家のお風呂には入れなかった。
おじいちゃんにごめんね、ごめんね、と泣きながら謝った。
布団に入って薄暗い部屋の天井をみていたら、視界がぼんやりとにじんだ。
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