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「……それって人間か?」
「ううん」
弭那穂はあっさりと返事を返す。
弭那穂が触ろうとして噛み付いてきたやつで、弭那穂だけに警戒心剥き出しにするやつ……そして、マユと俺が1番知ってて当たり前の弭那穂の好きな相手……
念のために俺はもう一つ質問をした。
「もう一つ聞くぞ、それは毛むくじゃらだよな?」
「うん、可愛いよね」
うんってお前は……
弭那穂の好きな相手とは、俺のすぐ身近にいたやつのこと……さっきベッドでひっくり返った、わが家の可愛いらしい獣。
人間じゃない、噛み付く、毛むくじゃら……ここまできたらいくら俺でもわかる。
「弭那穂……たん太は人って言わないだろ?」
「あっ!そういえばそうだね」
そうだね、じゃない!
笑い事、じゃない!
俺はこの答えのために傷つき、ふて腐れ、悩んだというのに……当人は全くそんな事はお構いなしか?
天然にもほどがある。
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