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「……はぁ」
ため息をついたら、体の力が一気に抜けた。
「ん?やっぱり変だよコウ君」
そりゃあそうだろ。
お前の事で一日落ち込んでたんだから……
「いいんだ……気にしないでくれ」
「なら良いけど……大丈夫?」
大丈夫?
まぁ、大丈夫さ
だって好きな相手の本命が獣であって人間じゃなかったんだからな。
「……で、相談ってなんだよ?」
「うん、たん太ちゃんのためにチョコレート作ったんだけどね……ああ、ちゃんと甘さ控えめで食べられるようにしてあるよ」
弭那穂は服のポケットから小さい箱を取り出した。
「それでね、どうやってあげたら良いのか分からないの……仲良くしたいのに」
「お~い、泣くなって」
「な、泣いてなんかないよ」
不安げな顔をするなって意味だ馬鹿弭那穂。
でも俺はその言葉を言わない。
言って泣かれたらシャレにならないからなぁ。
「まぁ渡すだけ、渡したら良いじゃないか。餌付けしたら大人しくなるだろう」
「そうかな~?」
う~ん、たん太がなぜ弭那穂を嫌っているかは定かではない。わが家に来た日、たん太はまだ小さかったが大人しく、可愛かった。
今でも、でかくても可愛いがな。
しかし、俺はすぐに弭那穂にたん太を見せに行った時……弭那穂にだけ、警戒して触ろうとした手を噛み付いた。
それ以来二人……いや、一人と一匹は仲は追っかけっこのようにたん太は逃げて、弭那穂が追っかけるという関係になっていた。
あ、俺ってもしかしてたん太より位が下なのか?!
……やば、ちょっと傷ついたかも。
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