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それはバレンタインデーの日の帰り道……おれは幼なじみに義理チョコレートを貰うはずだった。
しかし、
「え?……チョコがない?」
「ごめんね、コウ君」
俺は耳を疑った。
今まで彼女からの手づくり義理チョコをどれほど待ち望んでいたか……
小さく小柄な俺の幼なじみは俯いて謝った。
おい、謝るとかじゃないんだ……
つまり、俺の片思いをしている彼女は本命を……好きな人を見つけたということか?
「弭那穂(みなほ)……チョコがないってどういう意味?」
「だから……今年は……義理じゃなくて本命しかあげないことにしたの」
おいおい、
おいおいおい、
嘘だろ?!
俺が見て来たかぎり、弭那穂が片思いする相手はいなかったはずだ。
なのに……そんな……
「好きな……相手ができたのか?」
「……うん」
真っ赤になるなよ……まじで可愛いけど、ショックがでかくてそれどころではない……
「……で、もうあげたのか?」
「……ううん」
「そうか……」
あげてなくともいずれはあげるんだな、きっと。
あ~あ、ショックだ。
「そうか、じゃあ今からあげにいくんだな?頑張れよ!じゃあな」
無理矢理笑顔を作った。家はもすすぐだ……早く帰って泣きたい。
「あっ待ってよ、コウ君……」
弭那穂……待てといわれて待ってたら俺は泣き顔を見せないといけなくなる。
そんなの、男じゃないだろ?だから俺は逃げるように家に帰った。
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