勘違いのチョコレート

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「う~ん」 「おい、起きろ」 「う……いやだー!」 おもいっきり叫んで俺は目を覚ました。 弭那穂が狸になって俺を食べようと歯を剥き出しにしたくらいで夢から脱出できたらしい………マジで怖かった。 「うぉ~めっちゃ怖かった……ってあれ?マユがなんでいるんだ?」 ベッドの隣にいるのは弟のマユだった。変な名前かもしれないが、親がその時気分で決めた名前だからしょうがない。 「なんでって、ご飯が出来たから起こしに来たんだ。それと一緒に」 それ?? 「キュ~」 「うぉ!なんだ~たん太かぁ。おどかすなよ」 俺の腹当たりで鳴いているのは我が家のペット狸のたん太だった。 狸?……まさか、こいつが夢にでてきたのか? 「キュ~?」 「……まさかな」 「まさかってなんだ?」 マユは不機嫌そうにいう。 「あれ?マユがここに来たって事は携帯鳴らなかったんだな」 いつもなら、飯の時間がだいたい決まっているから携帯をアラームにして鳴ったらすぐに行く、というふうにしていたのに携帯を見たら電池が切れていたらしい。 「マユ~今何時?」 「九時だ馬鹿兄」 馬鹿?……夢でも言われたっつぅの! みんなして俺を馬鹿扱いかよ。 これでも頭は良い方なんだよ、ヘンだ! 「頭いてぇ~寝過ぎた」 「帰ってすぐ寝るからだ。少しは家のことしろよ、馬鹿兄が」 母さんがいないからな、家。でもさ、しょうがないのよ。俺は家事の出来ない父親の遺伝子ついだから。そしてお前は家事の出来る母親の遺伝子をついだんだから。 「いつかできたらな」 「ふざけんな、今やれ」 なんて可愛いげのない弟だこと……
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