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“弭那穂が今までにないくらい本気なんだ……諦めた方が良くないか?”
もう一人の俺が言っている……諦めようか、この恋を
“馬鹿だなぁ今しかチャンスはないんだ、この気を逃してなるもんかよ”
ああ、別の俺(多分悪魔の方)が耳元でささやいている。
「う~ん」
「?どうしたのコウ君?」
「ん?いや、なんでもない」
きょとんとした目で俺を見る弭那穂。
“告白しろよ”
“いやいや、ここは押さえとけ”
「弭那穂……」
「どうしたの?」
頭の声がすごくうるさい……
「……あのさ、好きなやつってどんなやつ?俺はそいつを知ってるのか?」
告白は……少し置いといて、弭那穂の相手について俺は知りたいと思った。
“ばーか”
その時、悪魔の俺がそう吐き捨てて消えた。
「え?当たり前じゃない……コウ君は知ってるよ」
当たり前?
俺の友達に弭那穂と仲の良いやつはいないはず。
しかも弭那穂が話し掛けても逃げるやつ……?
あり?なんかこれ、さっき見た夢に近い気がする……
「マユも知ってるのか?」
「マユ君も知ってるよ」
「………どんなやつだ?」
あの友達が一人しかいないマユも知ってるやつ?なんか、わけがわからない。
「コウ君さっきから変だよ?」
それは変にもなるさ、好きな女の事なんだから。
「いいじゃないか、教えてくれよ」
頼む、教えてくれ!別に殴りに行くとかじゃないから。
「……だから近寄ってもすぐに逃げるし、私にだけ警戒心剥き出しにしてくるし……」
??
そんなやついたら俺がぶっ飛ばしてるぞ。
全く分からない……
俺だけが知らないってことか?
「初対面で触ろうとしたら噛み付かれたよ……」
……………………………は?
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