第二章・まやかしの蝶

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鹿嶋警部が警部補を呼んだ。 大柄だが、人の良さそうな警部補は急いで鹿嶋警部の元へ向かう。 一応、橘少年も後に続いた。 見ると、木に吊されていた死体は下に降ろされ、青いビニールシートの上に寝かされていた。 間近で見ると、余計に体のあちこちが傷だらけで痛々しい。 「見たくないなら、もう教室にお行きなさい。授業もあるでしょうから…」 美坂が気遣い、橘少年の耳元で囁く。 「…いえ、大丈夫です。それに…」 何故だか、この場に居なきゃいけないような気がした。 「…ほぅ…君はどうやらこの学院に選ばれたようですね…」 美坂が誰にもわからないような、小さな声で呟いた。 「えっ…?」 橘少年が聞き返す。 美坂は目を細めて、唇に人差し指を当て、笑った。 「いえ、何でもありません。」 どうやら、橘少年が死体を目撃したのは、偶然でも、必然でもなく。 ━運命だったようですね。 美坂は櫻の木を見上げた。 ━なら、解決してやろうじゃないか、この私が。 美坂の色素の薄い瞳が、金色に光ったような気がした。
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