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改めて、橘少年は死体をよく観察してみた。
死体の特長は肩まで伸びた長い髪、春物のピンクのニットカーディガンに黄色いミニスカート。
身長は、1M 60cmぐらいだろうか。
顔には薄く化粧をしている。
「しかし、何で男子校で少女が死んでいるんだ?誰かと交際をしているのか、それとも親族なのか…?」
鹿嶋警部が疑問を口にする。
と、美坂が死体に近づいた。
「おい、警察の人間でもないのに、無闇に触るな。」
鹿嶋警部が忠告する。
「よく見てください、警部さん。被害者は少女、ではなく、少年、ですよ?」
美坂が言う。
鹿嶋警部がそんな馬鹿な…と呟き屈むと、死体の衣服を捲り、体を確かめた。
確かに、それは少年だった。
警部補が率直な意見を言う。
「被害者には女装癖があったのでしょうか?」
鹿嶋警部がうーんと唸る。
「とにかく、後は捜査しないと何もわからんな。身元確認もしなきゃならんし。学院内で取り調べもしなきゃならん。おい、貴様。」
鹿嶋警部が美坂に言う。
「貴様、ではありませんよ。美坂です。美坂音和。この星峯院高校に勤める普通の生物教師です。」
━表の顔、はね。
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