第二章・まやかしの蝶

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改めて、橘少年は死体をよく観察してみた。 死体の特長は肩まで伸びた長い髪、春物のピンクのニットカーディガンに黄色いミニスカート。 身長は、1M 60cmぐらいだろうか。 顔には薄く化粧をしている。 「しかし、何で男子校で少女が死んでいるんだ?誰かと交際をしているのか、それとも親族なのか…?」 鹿嶋警部が疑問を口にする。 と、美坂が死体に近づいた。 「おい、警察の人間でもないのに、無闇に触るな。」 鹿嶋警部が忠告する。 「よく見てください、警部さん。被害者は少女、ではなく、少年、ですよ?」 美坂が言う。 鹿嶋警部がそんな馬鹿な…と呟き屈むと、死体の衣服を捲り、体を確かめた。 確かに、それは少年だった。 警部補が率直な意見を言う。 「被害者には女装癖があったのでしょうか?」 鹿嶋警部がうーんと唸る。 「とにかく、後は捜査しないと何もわからんな。身元確認もしなきゃならんし。学院内で取り調べもしなきゃならん。おい、貴様。」 鹿嶋警部が美坂に言う。 「貴様、ではありませんよ。美坂です。美坂音和。この星峯院高校に勤める普通の生物教師です。」 ━表の顔、はね。
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