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真摯な表情で見つめられ、橘少年はおもわず頬を染めた。
「はい…それまで…待っています…」
橘少年の消え入りそうな呟きを聞くと、美坂はニッコリ微笑んだ。
「さぁ、それじゃあ行きましょうか。」
そう言うと突然、美坂は橘少年の手を取り、歩き出した。
橘少年は驚いたが、手を振りほどくこともできずに美坂に連れられ校舎へと向かう。
この人のやる事は予想がつかないや…。
橘少年はそれでも何故か手を繋がれた事に不快感を感じる事はなかった。
しかし何であの被害者は殺される羽目になったのだろう。
しかも、第一発見者の自分が疑われる羽目になるんじゃないか?
警察操作の基本で、まずは第一発見者を疑えと言うし…。
「な…ん…橘君!」
物思いに耽っていると、いつの間にか校舎に着いていたようだ。
橘少年は美坂に呼ばれて我に返った。
「あ…ごめんなさい。少し考え事をしていて。」
橘少年が素直に謝ると、美坂はくすりと笑った。
「いいんですよ。それより、私は一度職員室に戻ります。君は、自分の教室に行って警察に呼ばれるまで待機なさい。」
美坂の言葉に素直に従い、上履きに履き替えると美坂に別れを告げ、教室の方へと歩き出した。
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